はじめに
序章 「宗教」の生誕
――近代宗教概念の生成と呪縛
はじめに
1 近代における「宗教」の浮上
1-1 religioからreligionへ
1-2 近代宗教概念の生成
2 近代宗教言説の諸相
2-1 宗教言説の近代的諸形態
2-2 理性宗教論の係譜
啓濛主義と宗教概念 理神論と自然的宗教論の宗教概念
理神論の帰趨
2-3 宗教批判論の諸相
宗教批判論の諸特徴 無神論的宗教批判――フランスの場閤
啓濛宗教論から宗教批判論へ――D・ヒュームの位置
ドイツにおける宗教批判の展開
2-4 神秘主義の立場
「神秘主義」概念の生成史 ロマン主義以降
2-5 宗教の歴史論から近代宗教諸學の生成へ
宗教言説と歴史性の問題 ドイツにおける宗教史論の展開
宗教諸學の生成
3 「宗教」を語りつづけるということをめぐって
3-1 宗教言説の諸々の場所と主體
3-2 Writing against Religion?
I 宗教・宗教學・宗教批判
第一章 新宗教と知識人
――初期ドイツ宗教社會學と「知識人宗教」
はじめに
1 ドイツ教養市民層とその「宗教性」
1-1 ドイツ宗教とプロテスタント(ルター派)文化
1-2 「市民的宗教性」の問題
1-3 「宗教」の再定義
1-4 「流浪する宗教性」
1-5 「知識人宗教」の問題
2 ドイツ初期宗教社會學と新宗教形成の問題
2-1 ドイツ宗教社會學の生成
2-2 初期宗教社會學と新宗教
2-3 マックス・ヴェーバーと宗教的知識人の問題
ヴェーバーの宗教的知識人概念 ヴェーバーの同時代宗教評価
ヴェーバーの立場
2-4 E・トレルチと宗教的文化批判
宗教的欲求の語法 知識人宗教批判
知識人宗教と文化批判 トレルチとキリスト教の可能性
2-5 G・ジンメルと生の宗教性
「神秘主義」概念の生成史 ロマン主義以降
2-5 宗教の歴史論から近代宗教諸學の生成へ
ジンメル宗教論の展開 ドイツ帝國の宗教狀況
知識人宗教と「媚態」 「生」における「宗教」の止揚
おわりに
第二章 姉崎正治と近代の「宗教問題」
――姉崎の宗教理論とそのコンテクスト
はじめに
1 「宗教問題」と近代宗教學
1-1 「宗教問題」の性格
1-2 「宗教問題」と近代宗教學
2 姉崎宗教學の時代地平
2-1 明治期日本の「宗教問題」
2-2 一八九〇年代と日本宗教學の生成
3 『宗教學概論』以前の宗教理解
3-1 姉崎の「宗教問題」理解
3-2 比較宗教と宗教史研究
3-3 宗教狀況への介入
4 『宗教學概論』の周辺
4-1 宗教學の製度化と體係化の時代
4-2 『宗教學概論』の成立と背景
4-3 『宗教學概論』とハルトマン宗教哲學
4-4 『宗教學概論』の宗教理解
5 文化批判と『復活の曙光』
5-1 西洋経験と文化批判的転迴
5-2 「神秘主義」と文化批判
5-3 『復活の曙光』における生と宗教
6 國傢・教育・宗教
6-1 日露戦と「信仰問題」
6-2 勅教と國體解釈
7 新宗教と新時代の宗教
7-1 人本主義的宗教
7-2 社會問題と新宗教の生成
結び
第三章 啓濛とイロニーのあいだで
――宗教研究と「批判的思考」をめぐって
はじめに
1 宗教學と近代的批判意識
1-1 宗教學と護教論
1-2 啓濛主義・ロマン主義と宗教學
1-3 近代宗教學と批判的意識
2 アイロニー的思考の可能性
2-1 ブラウンと「弁証法的アイロニー」
2-2 アイロニーと「終極的語彙」
3 宗教學とアイロニー的思考
3-1 宗教・宗教學とアイロニー
3-2 アイロニー的思考と宗教學の可能性
II 啓濛・霊性・霊性研究
第一章 対抗科學と「霊性」探究の二〇世紀
1 科學の文化批判的位置づけ
2 「體験世界」の前景化
3 コスモロジーへの「転落」
4 「點検」と夢からの目覚め?
第二章 知識人宗教とグノーシス
――問題としてのR・シュタイナー
1 知識人宗教としてのシュタイナー思想
2 「グノーシス(主義)」の語用論
3 「グノーシス主義者」シュタイナー
4 シュタイナー思想とグノーシス主義
4-1 シュタイナーのグノーシス観
4-2 認識論
4-3 人間論-宇宙論
4-4 キリスト論
結び
第三章 「知的中間層」と宗教
――E・ブロッホの同時代宗教論
1 都市中間層と宗教
2 都市新宗教の諸現象
3 E・ブロッホの宗教診斷――その前提
4 イロニーと未來性――『ユートピアの精神』
5 點検と占拠――『この時代の遺産』
6 「未成のもの」と「無神論」――『希望の原理』
結び
第四章 異界の「実在問題」
――淺野・姉崎論爭とそのコンテクスト
1 大本教と淺野和三郎
2 姉崎正治の批判
3 日本の近代化と「宗教」のよじれ
第五章 「體験」と「伝統」
――近年の神秘主義論爭に寄せて
はじめに
宗教體験の概念 近代における神秘主義および神秘體験の概念
1 英語圏における神秘主義論爭
1-1 同一本質論の立場
1-2 「伝統」先行論の立場(カッツ)
2 考察
2-1 論爭の根本的性格
2-2 いくつかの代案
2-3 基礎作業としての言語の分析
2-4 神秘主義の係譜學の問題
III 流浪する宗教性
第一章 ヨーロッパと「宗教」
――ゲルマン主義宗教運動から見る
1 「宗教」の誕生
2 キリスト教の「文化」化
3 「古代ゲルマン」の発見
4 ゲルマン主義宗教運動の諸相
5 ヨーロッパ「宗教」の未來
第二章 宗教學と政治神學の「拒絶」
――ゲルマン主義宗教學の帰趨
1 近代宗教――認容と禁止
2 「政治神學」と宗教的社會統閤
3 ゲルマン主義宗教學の文脈
3-1 民族主義の生成と宗教
3-2 宗教學と文化批判
3-3 民族主義・人種主義と宗教
3-4 ゲルマン主義宗教運動
4 ハウアーとドイツ的信仰運動の思想體係
5 政治神學の「拒絶」
6 宗教學と政治神學への「拒否」
第三章 ゲルマン主義宗教運動の生成と挫摺
――E・ベルクマンの宗教構想とナチズム
はじめに
1 ゲルマン主義宗教運動とその背景
2 E・ベルクマンの宗教構想
2-1 哲學の講壇から宗教創造へ
2-2 「ドイツ宗教」の體係構想
3 ナチズムとゲルマン主義宗教運動の帰趨
3-1 「ドイツ教會」の「ヴィジョン」
3-2 「ポスト神學時代」におけるファシズムと宗教
第四章 「ポスト近代的宗教性」の一世紀――ジンメルとキューピットをめぐって
1 ポスト近代論と宗教
2 G・ジンメル宗教論の「ポスト近代性」
2-1 「ローティ化されたジンメル」
2-2 ジンメル宗教論のポスト近代性
2-3 生と宗教性の「形而上學」
3 キューピットの「ポスト・モダン宗教」
3-1 思想的前提としてのポスト・モダニティー
3-2 「自然主義的」世界像
3-3 キリスト教の「非実在論化」
3-4 「自己性の実験」としての宗教
結び
IV 宗教言説のゆくえ
第一章 「宗教」概念と「宗教言説」の現在
はじめに
1 宗教概念の脫自明化
2 宗教概念へのさまざまなアプローチ
3 宗教概念廃棄論の検討
4 宗教概念の再定義をめぐって
5 宗教概念のグローバル性
6 「宗教の比較係譜學」の構想
7 近代の反省カテゴリーとしての「宗教」
8 宗教言説の諸可能性
第二章 宗教のポリティックスとポエティックス
――ローティ,カプートと「宗教」の臨界點
1 宗教のポリティックス/ポイエティックス
2 R・ローティと宗教のポリティックス
2-1 「ポスト形而上學」の時代
2-2 社會正義と野生の蘭
2-3 宗教のカルチュラル・ポリティックス
2-4 「希望の宗教」としての市民宗教の構想
3 カプートと宗教のポエティックス
3-1 ラディカル解釈學と脫構築
3-2 宗教と不可能なもの
3-3 「新たな啓濛」とハイパー・リアリティー
3-4 「宗教なき宗教」
結び――宗教の未決定性
あとがき
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收起)