序文 阿壠とその時代
1、中国一九五〇年
2、「阿壠」という文学者
3、本書の構成
第一章 国民革命軍将校陳守梅と文学者阿壠
―― 少年時代と国民革命軍将校への道、長編小説「南京」の誕生
1、父母と青少年時代
2、杭州商人の「学徒」から国民党入党、左派「改組派」への参加
3、中国公学から黄埔軍官学校へ
4、黄埔軍官学校と初めての戦役
5、戦場での負傷と「再生の日」
6、上海最前線撤退から延安到着まで
7、延安にて、抗日軍政大学での日々
8、延安から西安へ、長編小説「南京」執筆の日々
第二章 愛と流浪の歳月
―― 重慶での生活、愛情とその破綻
1、重慶陸軍軍令部少佐としての生活、胡風への思い
2、重慶陸軍大学学員の生活と張瑞との出会い
3、張瑞との恋愛と結婚、その破綻
4、阿壠夫人瑞の自殺をめぐるそのほかの証言
5、抗日戦争終結後内戦時期、重慶における共産党への情報提供
6、重慶・成都における阿壠の文芸活動、重慶脱出の経緯
7、杭州に帰ってからの生活と南京
第三章 冤罪の構図
―― 殉道者阿壠、その死の意味
1、杭州戦役から人民共和国建国、上海から天津へ
2、人民共和国の時代、杭州から天津文壇の指導者へ
3、共産党政権下の文芸活動と「胡風事件」への布石
4、一九五〇年の論争とその終わりのない再現
5、胡風批判の展開と阿壠逮捕までの経緯
6、阿壠逮捕から公判まで、絶筆と獄中の断片
7、阿壠の死、家族の証言
8、阿壠の死の意味 ―― 本章の結びに代えて
第四章 長編小説「南京」とその意義
―― 半世紀を経て甦る戦争文学
1、長編小説「南京」の概要 ―― 中国語版『南京血祭』と日本語版『南京慟哭』
2、作品『南京血祭』の性格
3、阿壠創作の現実認識と象徴性
4、「南京」の文学的達成 ―― 日本の作品との比較検討
(1) 原民喜との比較
(2) 石川達三との比較
(3) 日本兵の涙について――「慟哭」の意味
(4) 対象化される現実――史実との関連における小説
(5) 火野葦平との比較
5、『抗戦文芸』長編小説公募と「南京」発表までの不可解な経緯
―― 統一戦線政策と創作の自主性をめぐる推論
(1) 阿壠「南京」が示す問題
(2) 戦時首都重慶の新聞・出版界の状況
(3) 郭沫若と胡風
(4) 阿壠の反応
第五章 阿壠の詩論について
―― 抵抗の詩人阿壠
1、阿壠詩論研究の立場
2、阿壠詩論の骨格 ―― 詩と詩人について
3、詩の言語と象徴性
4、詩における必然性としての技巧
5、阿壠のタゴール観
6、阿壠の詩論に見る「政治」 ―― 胡風との差異
7、阿壠文学の特異性 ―― 予言としての詩
後記「阿壠評伝」として
阿壠年譜
参考文献
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收起)