【目次】
第一章 饒舌なAV女優
1 はじめに
労働者であり、商品でもあり/微妙な立場/商品化の現場
2 なぜAV女優にひかれるのか
自由意志を語るということ/何におカネが払われるか/本書の射程
3 AV女優の生きる世界との出会い
参与観察とその制約/フィールドワークについて/本書の意義と限界
第二章 性の商品化とセックスワークとAV女優と 彼女たちをめぐる言説史
1 議論の出発
2 売春のどこが悪い?――性の商品化とフェミニズム
二つの論文を起点に/性の商品化とは何か/「被害者」のイメージ/個人的なものの領域
3 「セックスワーク」とは何だったのか
権利のための運動/日本のセックスワーク論/労働として認めるのか/現場の論者たち/自由意志を否定しない理由
4 AV女優やその周辺についての記録
メディアの中のAV女優/語りのパターン/第一のパターン――普通の〝おんなのこ〟/第二のパターン――中村淳彦のインタビュー/第三のパターン――パッケージの中のAV女優/常にあるストーリー/饒舌さの生まれる場所
第三章 AV女優の仕事
1 どうしてAV女優の日常から語りはじめるか
2 AV産業の構造
いくつかの組織とプレイヤー/プロダクションとマネージャー/メーカーとプロデューサー/制作会社と監督
3 AV女優の日常
AV女優になる、ということ/デビューまで/VTRとパッケージの撮影/グラビア撮影とプロモーション活動/契約更新と引退
4 決められた仕事と慣習
第四章 面接と語り
1 面接という経験
2 面接の種類
四種類の面接/〈分類1〉プロダクション面接/〈分類2〉メーカー面接①単体AV女優の場合/〈分類3〉メーカー面接②企画AV女優の場合/〈分類4〉監督面接 3 AV女優をつくる「面接」
面接は何を生み出すか/AV女優の誕生/「持ちネタ」的ストーリーと語りの獲得/キャラクター形成と差異化/つくられる「プロ意識」
4 つくられていくAV女優
第五章 単体AV女優から企画AV女優へ
1 単体AV女優と企画AV女優
2 生活の変化
企画AV女優への転身/ギャランティと出演作数/キャラクターをつくる/VTRの内容と評価/「頑張れば頑張っただけ」の内実
3 プライドの変質
企画AV女優はどこへ向かうか/AV女優のヒエラルキー/プロダクションの戦略/「共演」/つくられる「ベテラン」意識
4 築かれる「頑張り」の根拠
第六章 動機を語る動機
1 動機を語るAV女優の誕生
2 AV女優のストラテジー
インタビューと自己演出/性的欲望喚起としてのコンテンツ/雑誌取材とキャラクター/特有の言語と視聴者への想い/語り演出するという業務、AV女優になるという業務 3 内面化するAV女優像
誰がために語る/動機の内面化/性産業からエンタテインメント産業へ/視聴者の消滅/明るいAV女優像の希求
4 戦略としての語りから自己陶酔へ
第七章 おわりに 生きた経験としての性の商品化
1 AV女優と「自由意志」
ここまでの議論とその困難/AV女優をかたちづくるもの
2 構造的劣位
彼女たちの激務/つきまとう二つの不安
3 初体験、快楽、達成感
4 誰がAV女優の動機を生むのか
語りの向かう先/社会とAV女優が共有するもの
注
参考文献
あとがき
索引
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收起)