本書は、朝廷・公家衆を中心とする公家社会に視座を据え、中世から近世の移行期の問題を政治的・社会的に究明しようとするものである。主なねらいは三つある。一つは近世統一政権の形成・確立過程のなかで、公家社会がどのようにしてその統制下に組み込まれていったのかということ、天皇及び公家衆が近世国家においてどのような役割を果たし、位置付けられたのかということ、そしていま一つは、公家社会の特性を構造的・段階的に把握しようとしたことである。この課題を果たすため、これまでに発表してきた論考を中心にいくつかの新稿を加え、五つの部、二十五の章と三つの付論を立てて考察を行っている。
近世統一政権の形成過程、公家社会はどう統制下に組み込まれたのか。信長の官位問題などを考察。
近世統一政権の形成・確立過程のなか、公家社会は、いかにその統制下に組み込まれていったのか。戦国・織豊期の公家衆の存在形態、近衛前久などの政治的活動、信長の官位問題、秀吉と公家社会との関連、公家衆の家業などを考察。天皇および公家衆の近世国家における役割や位置づけを探り、「禁中並公家中諸法度」の分析を通し、大政委任論を提起する。
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近世初頭公家の政治活動と経済基盤 近世朝幕関係と天皇制
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